2021/07/02

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222 nm紫外線の変異株における新型コロナウイルス不活化効果を確認

抗ウイルス・除菌用紫外線技術「Care222®」は
新型コロナウイルスの変異株にも有効

現在、国立大学法人広島大学とウシオ電機株式会社(本社:東京都、代表取締役社長 内藤 宏治、以下 ウシオ)は共同研究を実施しています(研究題目「Care222®を用いた222 nm紫外線による殺菌・ウイルス不活化効果に関する研究」)。今般、この研究の一環として、広島大学病院 感染症科 大毛 宏喜教授、ならびに同大学大学院医系科学研究科ウイルス学 坂口 剛正教授のグループにて、ウシオの抗ウイルス・除菌用紫外線技術「Care222®」を用いた新型コロナウイルス変異株*1への照射効果を評価いたしました。その結果、従来株と同等の不活化効果が確認されましたのでお知らせいたします。

 

■概要
この度、広島大学病院感染症科の北川 浩樹診療講師、野村 俊仁診療講師、大毛 宏喜教授と広島大学大学院医系科学研究科ウイルス学の坂口 剛正教授のグループは、中心波長222 nmのエキシマランプと有害波長を取り除く特殊な光学フィルタを組み合わせた、ウシオの抗ウイルス・除菌用紫外線技術「Care222®」搭載ユニットを新型コロナウイルスの変異株に照射したところ、従来株と同等の不活化効果を示すことを明らかにしました。
本評価結果により、Care222®は従来の新型コロナウイルス株同様、変異株にも有効であることが示されました。  

■背景
先行する研究において、同研究グループはCare222®搭載ユニットを用いて、従来株における新型コロナウイルス不活化効果を世界に先駆けて明らかにし1)、さらに、新型コロナウイルスでの中心波長222 nmの紫外線による不活化効果は点灯方法(連続・間欠等)によらず累積照度に依存することを明らかにしました2)。 現在、国内外を問わず新型コロナウイルスの複数種の変異株による感染者が増えつづけています。これらの変異株は、その病原性や感染力が従来株と異なるだけでなく、ワクチンによる予防効果も異なることが示唆されています3)。一方、ウイルスの不活化に必要な紫外線(UV-C)量は想定可能であるとされています4)。新型コロナウイルスの変異株は複製・増殖時にゲノム(遺伝情報)のごく一部の配列が変化したものですが、紫外線(UV-C)の感受性を規定するゲノムサイズやピリミジンジヌクレオチド頻度5)*2に大きな変化はありません。したがって、従来株と変異株で222 nm紫外線への不活化の感受性は理論的に変わらないことが推察されていました。しかしながら、変異株においての検証実験は未だ実施されていませんでした。
このような状況をふまえ、ウシオは広島大学病院感染症科および広島大学大学院医系科学研究科ウイルス学のグループと、中心波長222 nmの紫外線による新型コロナウイルスの変異株の不活化について検証するため、共同研究を行いました。

■評価内容および結果
新型コロナウイルスの臨床分離株[N501Y変異(+)、E484K変異(-)](以下、N501Y変異株)と従来株 [N501Y変異(-)、E484K変異(-)](以下、従来株)との222 nm紫外線による不活化効果の評価を行いました。 それぞれの新型コロナウイルス株に対し、プラスチック上の乾燥した環境において、2、4、6 mJ/cm2の222 nm紫外線による照射試験を5回繰り返し行い、未照射のものと比較した不活化効果を評価しました。その結果、当初の推察通りN501Y変異株と従来株において、222 nm紫外線による不活化効果は同等(有意差があるとは言えない)でした(図、表)。

紫外線(UV-C)は、1世紀以上にわたって病原体消毒に使用され、水処理、空調機器、およびモノの消毒に利用されてきました。各微生物を不活化するのに必要なUV曝露量は様々ですが、紫外線(UV-C)に対して抵抗性を獲得した既知の微生物は存在しません6) 。また、本評価では新型コロナウイルスの変異株においても222 nm紫外線に対する感受性が変化しないことが明らかにされたことから、Care222®によるウイルス対策への展開が期待されます。


*1 変異株:一般的に、ウイルスは増殖・複製の過程で、少しずつゲノム配列が異なるウイルスが発生します。このゲノム配列の異なるウイルスは変異株と呼ばれ、一部の変異株はそのゲノム配列の変化によって感染力が強くなったり、重症化しやすくなることがあります。
*2 ピリミジンジヌクレオチド頻度:ゲノム配列における、ピリミジンジヌクレオチド[ TT(チミン、チミン)、TC(チミン、シトシン)、CT(シトシン、チミン)、およびCC(シトシン、シトシン)]の出現頻度。

■参考文献
1) Kitagawa, H., Nomura, T., Nazmul, T., Omori, K., Shigemoto, N., Sakaguchi, T., & Ohge, H. (2020). Effectiveness of 222-nm ultraviolet light on disinfecting SARS-CoV-2 surface contamination. American Journal of Infection Control, 000, 17–19.
https://doi.org/10.1016/j.ajic.2020.08.022
2) Kitagawa, H., Nomura, T., Nazmul, T., Kawano, R., Omori, K., Shigemoto, N., Sakaguchi, T., & Ohge, H. (2021). Effect of intermittent irradiation and fluence-response of 222 nm ultraviolet light on SARS-CoV-2 contamination.Photodiagnosis and Photodynamic Therapy, 33.
https://doi.org/10.1016/j.pdpdt.2021.102184
3) Collier, D. A., De Marco, A., Ferreira, I. A. T. M., Meng, B., Datir, R., Walls, A. C., Kemp S, S. A., Bassi, J., Pinto, D., Fregni, C. S., Bianchi, S., Tortorici, M. A., Bowen, J., Culap, K., Jaconi, S., Cameroni, E., Snell, G., Pizzuto, M. S., Pellanda, A. F., … Gupta, R. K. (2021). Sensitivity of SARS-CoV-2 B.1.1.7 to mRNA vaccine-elicited antibodies. Nature.
https://doi.org/10.1038/s41586-021-03412-7
4) Chase, C. (2021). Far UV-C Radiation : Current State-of Knowledge.The International Ultraviolet Association.
https://iuva.org/resources/covid-19/Far%20UV-C%20Radiation-%20Current%20State-of%20Knowledge.pdf
5) Pendyala, B., Patras, A., Pokharel, B., & D’Souza, D. (2020). Genomic Modeling as an Approach to Identify Surrogates for Use in Experimental Validation of SARS-CoV-2 and HuNoV Inactivation by UV-C Treatment. Frontiers in Microbiology, 11(September).
https://doi.org/10.3389/fmicb.2020.572331
6) Rich M. Simons, Ernest R. Blatchley III, & Karl G. Linden. (2020). Far UV-C in the 200 – 225 nm range, and its potential for disinfection applications. The International Ultraviolet Association. 
https://iuva.org/resources/covid-19/Far UV-C in the 200 _ 225 nm range, and its potential for disinfection applications.pdf

■ウシオの抗ウイルス・除菌用紫外線技術「Care222®」
波長222nmをピークに持つエキシマランプに特殊な光学フィルタを組み合わせることで、ヒトに悪影響を及ぼす230nm以上の波長をカットした、抗ウイルス・除菌技術です。現在、本技術を搭載した製品であるCare222®ユニットは国内医療機関等を中心に数千台出荷されており、今後公共施設や教育機関などへの展開も予定しております。

■ご参考
広島大学プレスリリース https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/65489

■広島大学病院 (広島市南区)
1945年、前身となる広島県立医学専門学校と附属病院が開校。県立医科大学をへて53年に国立に移管しました。日本国内で有数の高度医療技術を持つ医療機関として、医科・歯科合わせて47診療科を設置しています。中四国唯一の小児がん拠点病院をはじめ、災害対応や新型コロナウイルス感染症への対応など行政や他の医療機関とも連携して地域医療に貢献しています。 https://www.hiroshima-u.ac.jp/hosp

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