光浄化技術「Clean172™」
Clean172™とは、172nmによって豊富に生成される活性酸素種により、空気中のガス状有機物質を強力に酸化し、分解する技術です。吸着除去が困難なガス状有機物質にも適用できます。
メカニズム
光浄化メカニズムの3ステップ
STEP1
172nmが酸素と水を「分解」
172nmは、空気中の酸素分子(O2)、水分子(H2O)に作用し、酸素と水を分解します。

酸素と水は、160~200nmにかけて光の吸収度合い(吸収断面積))が大きく変化します。
一般的に利用されている185nm(代表的な光源:低圧水銀灯)と比べ、172nm(代表的な光源:エキシマランプ)は、酸素に対して「56倍」、水に対して「68倍」、吸収断面積が大きいため、酸素と水に良く吸収されます。
STEP2
「活性酸素種」を豊富に生成
172nmにより生成した酸素原子(O(1D)とO(3P))は、他の酸素分子(O2)や水分子(H2O)と反応し、オゾン(O3)やヒドロキシラジカル(・OH)と言った活性酸素種を生成します。さらに、172nmは、水分子(H2O)から、直接、ヒドロキシラジカル(・OH)を生成します。
このように生成されたヒドロキシラジカル(・OH)やオゾン(O3)は、非常に高い酸化力を有しています。

STEP3
ガス状有機物質を「酸化分解」
ヒドロキシラジカル(・OH)やオゾン(O3)が、ガス状有機物質を強力に酸化、その分子結合を分解し、最終的には、H2OやCO2まで分解します。

効果
難吸着性化学物質の分解
難吸着性化学物質の一つとされるホルムアルデヒドは、低分子量・極性分子のため、一般的な活性炭では、ほとんど吸着されないことが知られています。産業上有用な物質である一方、揮発性・毒性が高く、健康被害が問題となるケースも発生しており、屋外に強制排気する以外の有用な手段がないとされています。
それに対して、ウシオの光浄化技術「Clean172™」は、ホルムアルデヒドを酸化分解し、除去することが確認されました。
ホルムアルデヒドを許容曝露濃度
「0.1ppm以下」まで分解
ボックス内のホルムアルデヒドの濃度は、ランプ消灯時に上昇し続けますが、ランプ点灯後から、濃度は低下し、検出限界値以下となります。

【実験条件】
・BOX容量 110L
・37%ホルマリン液をφ90シャーレに入れて静置
・使用ランプ 14Wタイプ

内藤 敬祐(ウシオ電機) 労働衛生工学会 真空紫外線によるホルムアルデヒド分解と作業環境改善、2019年11月
Clean172™で分解可能な化学物質(一部)
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成分 |
---|
ホルムアルデヒド |
アセトアルデヒド |
メタノール |
アセトン |
MEK※1 |
アンモニア※2 |
- 1 物質によって分解速度は異なります。
- 2 無機成分があるため、CO2、H2O以外の物質も出てきます。
学術情報
発散防止抑制措置としての応用(2020年室内環境学会での発表内容からの抜粋)
Clean172™によるホルムアルデヒドの分解・除去技術を発散防止抑制措置として応用しました。厚生労働省より、労働安全衛生法・特化則が定める発散防止抑制措置としての認可を取得しました。
実証実験機による作業環境の改善例

発表履歴
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学会名 | 発表演題 | 著者 |
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第92回産業衛生学会 | VUV光照射モジュールによるホルムアルデヒド分解と作業環境改善 | 内藤敬祐、後藤一浩、中家隆博1)、安田知恵1)、 清原一益2)、吉田晃至2)、石田尾徹3)、保利一3) |
第32回においかおり環境学会 | オゾン発生方式の違いによる喫煙室脱臭処理後の臭気成分 | 内藤敬祐、佐畠健一、谷口智昭 |
第59回労働衛生工学会 | 真空紫外線によるホルムアルデヒド分解と作業環境改善 | 内藤敬祐、後藤一浩、中家隆博1)、安田知恵1)、 清原一益2)、吉田晃至2)、石田尾徹3)、保利一3) |
The 4th Asian Network of Occupational Hygiene Conference 2019 | Decomposition of Formaldehyde in Working Environment by Excimer Lamp | Keisuke Naito, Kazuhiro Goto, Takahiro Nakaie1), Chie Yasuda1), Kazumasa Kiyohara2), Koji Yoshida2), Toru Ishidao3), Hajime Hori3) ( The First Runner-Up Poster Popularity ) |
2020年室内環境学会 | エキシマランプによるアルデヒド類の分解 | 内藤敬祐、寺田庄一、西尾謙吾、中家隆博1)、 安田知恵1)、山本忍3)、石田尾徹3)、保利一3) |
第94回日本産業衛生学会 | エキシマランプによるニコチンの分解 (産業衛生技術部会 部会長表彰 受賞) |
内藤敬祐、寺田庄一、西尾謙吾、中家隆博1)、 安田知恵1)、山本忍3)、石田尾徹3)、保利一3) |
2021年室内環境学会学術大会 | 大気エアロゾル生成能のオゾン発生方式による違い | 内藤敬祐、佐畠健一、西尾謙吾 |
1) 関西環境科学株式会社 2)昭和電機株式会社 3)産業医科大学 産業保健学部