ウシオの光殺菌技術「Care222®」

Care222®とは、波長222nmをピークに持つエキシマランプに特殊な光学フィルタを組み合わせることで、ヒトに悪影響を及ぼす230nm以上の波長をカットした、ウイルス抑制・除菌技術です。

メカニズム

紫外線の殺菌メカニズム

紫外線は波長によって、UV-A、UV-B、UV-Cに大別されます。いずれも太陽光に含まれる電磁波ですが、その中でも、UV-Cはオゾン層で吸収され地上に到達しませんが、その殺菌効果が良く知られています。
一般的な殺菌線として知られる波長254nmと同じく、波長222nmもこのUV-Cの波長域に属しています。
 

優れた殺菌効果を持つ紫外線C波(UV-C)

 

UV-AおよびUV-Bはオゾン層を通過し地球上に降り注ぎ、日焼けや皮膚がんなどの弊害は良く知られています。UV-Cは、その殺菌効果が良く知られており、100年以上前から殺菌用光源として人工的に作られ、利用されてきました。しかし、有人環境で照射すると、皮膚がんや角膜炎を発症させる危険があるとして、その用途は限られてきました。

DNA構造に働きかける紫外線

 

紫外線による殺菌作用は、細菌の核酸(DNA)に損傷を与えることによって生じると考えられています。
紫外線は菌やウイルスなど細胞が持つDNAやRNAに吸収される性質を持ちます。紫外線を吸収した細胞の核酸の構造が、二量体等を形成することで損傷され、生殖能力を失い、死滅します。これが紫外線による殺菌、ウイルスの不活化のメカニズムです。従って、原理的に殺菌や不活化が難しい菌やウイルスは存在しません。また、薬剤耐性菌のような変異や耐性化を心配することも不要です。

皮膚と眼に対する222nm紫外線のメカニズム

Care222®で使用されている波長222nmの紫外線は、角質層や目の角膜で吸収されるため、日焼けや皮膚ガン、白内障といった障害を引き起こしません。

生体透過率が低い人体に影響のない紫外線

波長222nmと波長254nmでは、タンパク質の吸収係数が異なります。
波長222nmの角質透過率は0.01% のため、皮膚内部まで紫外線が浸透しません。このため波長254nmに比べて、波長222nmは皮膚に対して悪影響を及ぼしません。
同様に、眼において、波長222nmは角膜表面で吸収され、角膜炎を引き起こしません。一方で、波長254nmは角膜の細胞の数層を障害し、角膜炎の原因となります。

人体に有害な波長をカットした紫外線

 

波長222nmをピークに持つ一般的なエキシマランプは、人体に有害な波長230nmから300nmもわずかながら放射しているのに対して、Care222®は、特殊な光学フィルタを組み合わせることで、この人体に有害な波長域をカットし、波長222nmに絞って照射することができます。

合わせてチェック!

コロンビア大学のDavid Brenner教授は、波長222nmをピークに持つエキシマランプと光学フィルタを組み合わせて⼈体に有害な波⻑域の紫外放射を除去し、ウイルス・細菌の不活化効果のみを選択的に活用する事に成功しています。ウシオ電機は、この技術に関する基本特許の全世界における独占実施権を取得しています。
※Buonanno, M. et al. 207-nm UV Light - A promising tool for safe low-cost reduction of surgical site infections . I : In Vitro Studies. PLoS One 8(10), e76968 (2013).

効果

殺菌効果

共同研究先ならびに当社でのCare222®を用いた殺菌効果実験の結果を示します。

様々なウイルスの抑制・除菌

波長254nmと同様に、波長222nmは広範囲の病原体を不活化することが、弘前大学の中根教授らの研究グループによって報告されています[5]。
また、一般的に不活化し難いとされる芽胞に対しては、波長254nmと比較し、より効果的な傾向が報告されています[5] [6]。さらに、波長222nmは、エアロゾル中のヒトインフルエンザやヒトコロナウイルスに対しても、高い不活化効果を示す事も報告されています[7] [8]。
新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)に関する不活化効果の検証は、広島大学の大毛教授らの研究グループにより、2020年9月に報告されました。この研究では、プラスチック上の環境において、照度0.1mW/cm2の222nm紫外線を10秒間照射で88.5%、30秒間照射で99.7%の新型コロナウイルス不活化を確認しています[9]。

会議室(当社事業所内)での照射実験

Care222®搭載の照射ユニットを用いた、当社事業所内の会議室における照射実験(冬期)の結果です。 測定方法はスワブ式を採用し、始業前(朝)と始業後(夕方)にサンプリングを行いました。
照射ありの期間(1日目~10日目)は、一般生菌のコロニー数が低く抑えられているのに対して、照射なしの期間(11~12日目)では、一般生菌のコロニー数が大幅に増えていることが分かりました。

トイレ(当社事業所内)での照射実験

Care222®搭載の照射ユニットを用いた、当社事業所内のトイレにおける照射実験結果(測定方法はスワブ式を採用)です。
照射ユニットを設置しなかったトイレ(B:比較区)に比べ、設置したトイレ(A:対象区)では、床や人の手が触れる箇所における一般生菌のコロニー数が低く抑えられていることが分かりました。

※本実験は、人感センサーを用いて、人が入室した際には、ランプがOFFになる条件で行っております。

皮膚と眼に対する効果

紫外線はDNAに損傷を与え、人体に照射すると皮膚がんや白内障等の障害を発症させると考えられています。人体への影響は、紫外線にあたってすぐにみられる急性傷害と、長年にわたってあたり続けた結果として現れる慢性傷害に分けて考えることが出来ます。
これまで、波長222nmの生体に対する急性および慢性障害について、動物実験やヒト臨床試験が行われており、従来の紫外線と比較すると、はるかに安全性が高いことが報告されています。ここでは主要な報告について示します。

マウス正常皮膚への照射

従来の紫外線殺菌灯の主要波長である波長254nmと、波長222nmをマウスに157mJ/cm2照射しました。結果、波長254nmの照射においては、DNA損傷を示すCPD(シクロブタン型ピリミジン二量体)、ならびに6-4 PP(6-4型光産物) の発生が確認されましたが、波長222nmの照射においては、DNA損傷は確認されませんでした(図1)。

図1.マウス皮膚におけるUVC誘発性のDNA障害の発生
A:CPDおよび6-4PPの免疫組織染色(暗く染色された細胞にDNA障害が発生していることを示す)
B:CPD(左)と6-4 PP(右)の発生頻度

M. Buonanno Brian Ponnaiya David Brenner etal., Germicidal Efficacy and Mammalian Skin Safety of 222-nm UV Light、Radiation Research, 187(4):493-501. 2017

人体に有害な波長をカットした紫外線

 

神戸大学整形外科学の黒田教授らのグループの報告では、健常者ボランティアを対象として、波長222nm紫外線照射(ウシオ電機製)の安全性と、皮膚殺菌作用を検討する事を目的として試験を行い、500mJ/cm2以下の紫外線照射終了後24時間での紫外線による急性障害である、皮膚紅斑の有無を調べたところ、全ての被験者において、222nm紫外線照射による紅斑は、認められませんでした(図2)。波長254nm紫外線の最小紅斑量が10mJ/cm2程度と報告されており、大きく異なることが明らかとなっています。波長222nm紫外線が生体に障害を与えなかった理由は、波長222nm紫外線の生体に対する深達度の浅さによるものであることが、神戸大学皮膚科学の錦織教授らのグループの研究によって明らかになっています。

図2.健常者における波長222 nm紫外線照射
A:照射箇部位の拡大
C:ボランティアへの照射の様子

Fukui et al., Exploratory clinical trial on the safety and bactericidal effect of 222-nm ultraviolet C irradiation in healthy humans, PLOS ONE, 2020

眼に対する効果

眼への波長222nmの安全性に関しては、島根大学の谷戸教授らのグループから論文が報告されています。この研究では、アルビノラットにおける波長222nm紫外線および波長254nm紫外線によって引き起こされる紫外線照射24時間後の急性角膜損傷を評価しています。
従来から広く用いられてきた波長254nm紫外線では、30-150mJ/cm2に曝された角膜で表在性の点状角膜炎が発症し、600mJ/cm2では、角膜の侵食が観察されています。また、ヘマトキシリンおよびエオシン染色においても、波長254nm紫外線に曝された眼では、角膜上皮欠損という重度な症例が観察されました。
一方で、波長222nm紫外線においては、600mJ/cm2の照射群においても、24時間後、角膜に損傷は認められませんでした(図3)。

図3.アルビノラットへの紫外線照射試験
矢印は染色された角膜炎発生部位を示しています

Kaidzu et al., Evaluation of acute corneal damage induced by 222-nm and 254-nm ultraviolet light in Sprague-Dawley rats, Free Radical Research, 2019

長期的な影響

波長222nm紫外線の生体に対する長期的な影響に関しても報告されています。医療現場等では人体に対して直接、かつ繰り返し照射する可能性があるため、発がん性などその安全性についての検証が行われています。
  神戸大学皮膚科学の錦織教授らのグループの研究では、紫外線に対して非常に感受性が高く、野生型マウスに比べて約10,000倍皮膚がんになりやすいとされる色素性乾皮症A群モデルマウス(Xpaノックアウトマウス)に対して、波長222nm紫外線を繰り返し照射し、皮膚と眼についての安全性の検証おこないました。対照として、太陽光中の皮膚がんを起こさせる波長であるUVB(波長280~315 nm)を照射した群では、最終的にすべてのマウスで皮膚がんが発生したが、222nm紫外線照射群マウスでは皮膚がんが全く発生しなかった(図4)。この結果は従来の紫外線が皮膚の表皮の基底層という表皮の最下層にまで到達し、角化細胞を作り出す幹細胞のDNAを損傷させることで発癌の危険があるが、 222nm紫外線は表皮の表層の部分までしか到達せず、基底細胞の損傷がない実験結果と一致しております(図5)。
また眼の長期的安全性に関しても同時に確認されたが、UVB照射マウスでは、角膜の損傷や新生物、白内障などの影響も広範に認められたが、222nm紫外線照射マウスは、顕微鏡観察においても全く異常が確認されませんでした。

図4. ノックアウトマウスに0.5または1.0kJ /m2 波長222nm紫外線を週2回、波長254nmの紫外線0.25kJ /m2を週1回の照射を10週間継続した。照射後、15週間皮膚主要の発生を観察しています。

図5.波長222nmおよび254nm紫外線照射によるマウス皮膚DNAの損傷
紫外線照射により生じたマウス背部皮膚のDNA損傷(CPD)を組織免疫染色により確認しています。
CPDを発生した細胞は赤茶色に染まっています。

Yamano, N. et al. Long-term Effects of 222-nm ultraviolet radiation C sterilizing lamps on mice susceptible to ultraviolet radiation. Photochem. Photobiol. 96(4), 853-862 2020.

学術情報

論文リスト

  • 横スクロールでご覧ください
研究対象 共同研究先 実験対象
皮膚 神戸大学 皮膚科 マウスの皮膚 [3]
神戸大学 整形外科 ヒトの皮膚 [2]
島根大学 ラットの眼 [4]
効果 弘前大学 バクテリア、カビ、ウィルス[5]
コネティカット州立大学 芽胞の殺菌メカニズムについて[6]
北里環境技術センター インフルエンザ、ネココロナ
広島大学 COVID-19 [9]
コロンビア大学 インフルエンザ [7], ヒトコロナウィルス[8]
光源 コロンビア大学 光学フィルター [1]

[1] Buonanno, M. et al. 207-nm UV Light - A promising tool for safe low-cost reduction of surgical site infections . I: In Vitro Studies. PLoS One 8(10), e76968 (2013).
[2] Fukui, T. et al. Exploratory clinical trial on the safety and bactericidal effect of 222-nm ultraviolet C irradiation in healthy humans. PLoS One 15(8), e0235948 (2020).
[3] Yamano, N. et al. Long-term Effects of 222-nm ultraviolet radiation C sterilizing lamps on mice susceptible to ultraviolet radiation. Photochem. Photobiol. 96(4), 853-862 (2020)
[4] Kaidzu, S. et al. Evaluation of acute corneal damage induced by 222-nm and 254-nm ultraviolet light in Sprague-Dawley rats. Free Radic. Res. 53, 611-617 (2019).
[5] Narita, K. et al. 222-nm UVC inactivates a wide spectrum of microbial pathogens. J. Hosp. Infect. 105, 459-467 (2020)
[6] Taylor, W. et al. DNA damage kills bacterial spores and cells exposed to 222-Nanometer UV radiation. Appl. Environ. Microbiol. 86, 1–14 (2020).
[7] Welch, D. et al. Far-UVC light: A new tool to control the spread of airborne-mediated microbial diseases. Sci. Rep. 8, 2752 (2018).
[8] Buonanno, M., Welch, D., Shuryak, I. & Brenner, D. J. Far-UVC light efficiently and safely inactivates airborne human coronaviruses. Sci Rep. 24;10(1), 10285 (2020)
[9] Kitagawa, H. et al., “Effectiveness of 222-nm ultraviolet light on disinfecting SARS-CoV-2 surface contamination.,” Am. J. Infect. Control, 2020, doi: 10.1016/j.ajic.2020.08.022.

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